―今夜も綺麗だね…
―君を待ってたんだよ…
―また来てくれる?
「金ちゃん大好きよ!愛してる!」
「ありがとう、俺も好きだよ」
短いスカートと胸元の開いたシャツ、長い茶髪の髪を靡かせ金時に甘えて抱き着く彼女をやんわり受け止める。
客が望む甘い台詞を吐きながら、金時は愛しい愛しい彼女に想いを馳せていた。
言葉で伝えて…
金曜の夜は客も多く、閉店時間になっても居座り続ける客もいる。
そんな時は巧みに甘い言葉を囁いて、何とか客を上機嫌なままで店から追い出すのも金時達ホストの仕事。
金時は店先まで客に付き添い、別れ際にキスを請われ、額にチュッとわざと音をたて唇をつけた。
「やっ~と帰ったぜあの客、時間になったらさっさと帰れっつうの。こっちは寂しいお前らと違って、早く帰りたいんだよね」
「ちょっと金さん、お客さんの悪口はやめて下さいよ!誰が聞いてるか分からないですからね」
「うっせーケツアゴ、客にサービスしまくって疲れてんだ。文句の一つくらい言わせろ!」
さっきまで甘い言葉を囁いて女性達を喜ばせていた金時の口から、荒い言葉遣いで愚痴が飛び出す。
店長でボーイをしている立派な割れた顎をもつ新八は、そんな金時にハァと溜息を吐いて肩を竦めた。
「客よりも俺のあの子に愛を囁きたいんで。んじゃ帰るわ新八~」
「はいはい…、こんな金さんお客が見たら幻滅するだろうなぁ」
「俺はあの子さえいればいいし?客が勝手に幻滅してようが、俺は知ったこっちゃねーよ」
ここでは基本ホストの恋愛は自由だ、恋人の存在を公表するか秘密にするかはホスト達に任せている。
金時は自分からわざわざ公表することはしないが、隠そうとも思っていないので素の時は普通に恋人の話をしていた。
「恋人がいたらいたで、金さんを奪おうともっと貢ぐお客が増えそうですよね。どっちにしてもNo.1は不動ですか」
「どんなに貢がれても、俺はあの子一筋ですから。まぁ、せいぜい店の売上に貢献してくれれば、いくらでも貢いでくださいってこった」
「酷い男ですよね、これでNo.1ホストなのが嘘みたいですね」
「本当に優しくしたいのは、あの子一人だし。そんじゃ行くわ」
嬉しそうに店のドアを開けて、金時は手を振りながら夜の歌舞伎町へと出ていった。
道路脇で客待ちの列をつくるタクシーに乗り込み、金時は目的地を告げる。
渋る愛しい人を説き伏せて同棲を始めてから、金時は早く帰りたくて仕方ない。
一分一秒でも長く一緒にいたくて、こんなに会いたくて心が急くなんて初めてだ。
恋人の土方は女子大生で、一人暮らしをしていた。
二十歳を迎えて話題作りにと仲間達に連れられ、金時のいるホストクラブにやって来たのが初めての出会いだった。
その日は人気No.1の金時は待ち時間が長いため、土方のいるグループに指名されなかった。
しかし接客中に店に入ってきた集団に目をやった時、嫌そうに眉を寄せて不機嫌丸出しの彼女に金時の視線が釘付けになる。
「いらっしゃいませお嬢様方、初めまして金時と申します」
気がつけば金時は呼ばれもしてないのに土方達のテーブルに行き、ちゃっかり土方の隣に陣取り酒を注いでいた。
たいていの客は肩を抱き、耳元に唇を寄せて甘い言葉で愛を囁いてやれば金時に恋に落ちる。
「そんなサービスいらないから、あんまり近寄らないでくれる?こっちは構わなくていい、あんたを待ってる客の処へ行ってくれ」
金時が傍へきて言葉を交わし触れるだけでたいていの客は喜んでいたのに、土方は嫌そうな顔で余計なことはするなと追い払う。
だったらこんな場所に来るなと言いたいところだが、仲間に連れて来られただけで土方は最初から嫌がっていたのだ。
土方がホストクラブに来たのはこの一回きりで、こういう世界を本気で嫌がっていた。
だからといってホストや客を軽蔑するとかではなく、男女の遊びの駆け引きなどが苦手とか、金を払いホストと擬似恋愛する意味が分からないといったことが理由らしい。
それでも金時は嫌がる土方に猛烈にアタックしまくり、最後には根負けした土方から携帯番号を聞き出すのに成功した。
その後はと言えば、金時の涙ぐましい努力のはてなんとか土方を恋人にできたのだ、金時の土方に対する愛情は計り知れない。
土方がもたらしてくれる何もかもが初めての感情に、今まで爛れた大人の関係しか持ったことがない金時は、本当の恋愛をするとはこういうことなんだと気づかされたのだった。
金時が住んでいたマンションは高級マンションだった、よく億ションなどと言われるような最上階の部屋だ。
しかし土方がそんな部屋には絶対住まないと嫌がったので、二人で住むには広すぎず狭すぎないこの2LDKの部屋を借りたのだ。
その二人の愛の巣に帰り、金時が見た光景は信じられないものだった。
「てんめー!トシちゃんから離れろ!」
居間のソファで土方を抱きしめながら寝る、土方の大学仲間の沖田がいたのだ。
土方はその沖田の腕の中で、気持ち良さそうに寝いた。
金時の怒鳴り声に、二人が目を覚ます。
「おや、お帰りなせい旦那。あいかわらず酒と煙草と香水臭いですねィ」
「き…金時、これは沖田に…」
「どんな理由であれ、俺の女に気安く触る男は許さねぇ!」
金時は沖田の胸倉を掴んで、ソファから床に投げ落とす。
驚いて土方が沖田に駆け寄ろうとしたら、金時に後ろからきつく抱きしめられ動けなくなってしまった。
「何これ、堂々と浮気?トシちゃんに会えるの楽しみに帰ってきたら、男と浮気中って最悪じゃん」
「金時、違っ…」
「旦那ぁ、あんたは毎日毎日女の臭い染み付けて帰ってくる。しかも、土方さんとほとんど会ってないじゃないですかィ」
「あぁ?仕事だから仕方ないじゃねえか、だから浮気か?」
沖田は床に胡座をかき、ニヤニヤと笑っている。
「毎日毎日女と浮気する旦那に、土方さんが疲れてたんでねィ。酒飲みながら話し聞いていたら、すっかり寝ちまっただけでさァ」
ソファの前にあるローテーブルには、たしかにビールや酎ハイの空き缶が乗ってある。
「俺のは浮気じゃない、仕事なんだから土方と生活があわないのは仕方ないじゃねえか」「仕事と分かってても、恋人が何処の誰か知りもしない女を抱き寄せキスしていたら嫌じゃないですかィ?今しがたあんたは俺に嫉妬し激怒したけどねィ、土方さんなんか毎日見ず知らずの女に嫉妬してるか知ってやすかィ?」
「そ…総悟、もういい!」
「土方さん、これは丁度いいチャンスなんでさァ。旦那ァ、浮気現場を見てあんたはどんな気持ちですかィ。土方さんなんか今のあんたの気持ちを毎日毎日味わってるんですぜ?」
知らなかった…、で済まないだろう。
沖田の言葉に、土方は溜まっていた不安や苛立ち、怒りや焦りが溢れ出したのだろう。
関を切ったように涙を流し、金時の腕の中で震えていた。
この貸しは旦那に払ってもらいやしょうかね、沖田はそう言って重苦しい部屋に二人残し出ていった。
確かに同伴で街中でも客に請われれば、仕事と割り切って抱き寄せキスをしていた。
人目も憚らずそんな姿を晒していたから、何処かで沖田や土方ら知っている人達に見られていたって不思議じゃない。
しかしそれは仕事だから土方も気にしないだろうと、土方に確かめもしないで勝手に思っていた。
知らなかった、知ろうとしなかった。
どんな理由でも、恋人が自分以外と抱き合ったりキスしていたら嫌だろう。
少し冷静になれば沖田が土方に手を出すはずは無いと分かるのに、現に金時は我を忘れ嫉妬し沖田に怒りをぶつけたのだから。
仕事だから仕方ないと諦めそれでも沸き上がる嫉妬に、土方は毎日毎日苦しんで疲れていたなんて知らなかった。
土方は嫉妬しないだろう、仕事だから気にしないだろうと都合よく考えていた自分が情けなくなる。
そういえばここ一ヶ月ほど忙しくて、寝顔を見るだけで会話も触れ合うこともしてなかったと金時は気づく。
土方が部屋にいて寝顔を見て安心し満足していた自分は、まるで屋台で興味本位で釣った金魚を水槽にいれ満足して眺める子供のようだと気づく。
水槽からは逃げない金魚に安心し、手に入れた満足感に喜んで眺めているだけ。
「…トシちゃん、お風呂入ろうか」
「え?」
「トシちゃんの嫌いな臭い、洗い流してくれないかなぁ?」
餌をやり水を変えるだけでいい金魚ではなく、土方は感情があり自分の意思で動く人間なのだ。
飼い主を選べず水槽から出れない金魚じゃなく、気持ちが離れれば自分の意思でこの部屋から出て行ける人間なのだ。
ちゃんと気持ちを確かめ合わないと、いつしかこの部屋から消えてしまうかもしれないのだから。
バスルームの明かりに照らされ、土方はバスタブの縁に座り足を開いていた。
ピチャ…ヌチ…クチュ…ジュルル…クチ…
「き…ん、ひぁあぁぁ!あく…はぁん、クリトリス気持ちぃよぉ!」
金時はしゃがみ込み両足の太股を掴んで限界まで開かせて、土方の股間に顔を入れ自然に開いた割れ目に舌を伸ばしている。
勃起したクリトリスを舌先で形をなぞるように舐め回し、皮の剥けたクリトリスの先端に尖らせ固くした舌先を押し当てレロレロと小刻みに揺すぶってやる。
「あー!あー!先っぽ…先っぽレロレロ…んひー!ひやぁ…んひー!気持ちぃー!」
金時が掴む内股が小刻みに震え、土方は足の指を丸めたり開いたりして激しい快感に堪えていた。
クリトリスの下にある蜜壺からは、お漏らししてるようにビュクビュクと愛液が吹き出し、バスタブの縁を伝って流れ落ちていく。
愛液独特の匂いがし、金時は蜜壺に吸い付き愛液を思い切り啜りだした。
ジュルルルルルル…
「いやぁぁあぁ!吸わないでぇえぇぇ!」
風呂場に愛液を啜る水音が響き渡る。
金時が蜜壺を吸いながらクリトリスを指で摘んで捏ると、土方の身体がビクリと跳ね上がり、吸い付く蜜壺からとめどなく愛液が溢れ金時は喉を鳴らして飲んでいく。
口の中が愛液の味で満たされ満足した金時は、蜜壺やクリトリスを綺麗にするかのようにペロペロと舌で丹念に舐め回していった。
「やっぱ最高に美味しいね、トシちゃんのお汁。どんな酒より俺を酔わせちゃう美酒だよ」
「あん…はぁっ、きん…もう」
「なぁに?トシちゃん」
土方が物足りない顔で金時を見下ろしているのを無視し、金時は蜜壺に指を二本入れV字に開いて狭い蜜壺をこじ開ける。
「トシちゃんの中、真っ赤でウネウネ動いてるね、かーわいーいっ!」
「ヤァァ!!そんなとこ開いて見ないでぇ!」
「…ねぇ、すれ違いの生活が寂しかった?俺が客とデートして、街中でキスしてるの見て辛かった?…こんな俺をもう嫌いになった?」
ピタリと金時の動きが止まり、土方は不思議に思い見下ろす。
すると土方の股間から顔をあげ、ジッと土方を見上げる真剣な眼差しの金時と視線があった。
「ほら…、正直に言って」
グチュ…ジュポ…チュグ…ブチュ…
「あー!あー!…寂しかったのぉ、…ひぁあぁぁ!!」
指で開かれた蜜壺の中を、ヌルヌルと温かい舌が軟体動物のように蠢く。
男勝りでプライドが高く、気が強くて頑固者。
服装はTシャツにジーンズ、土方の短く切った髪に化粧をしていない顔は、一見たいていの女が振り向くイケメンだ。
キラキラと着飾る店の客に見飽きて、変わったタイプの土方に目がいったのだろうと、同僚のホストの高杉や桂に言われたことがある。
しかし理想と現実は違うとはよく言ったもので、金時が惚れたのは紛れも無く女らしさのカケラもない土方なのだ。
どんな美女に囲まれても心が動かなかったのに、恋とは突然で土方を見て一目惚れを生まれて初めて経験した。
「ねぇ、もっと言ってよ。…言ってくれないと分からない」
「あっ…あっ…、いやぁ…」
どんなに身体を暴いても、こうやって身体の内の中まで覗いても見えない心に焦れてくる。
言わないから気にしていないと思っていた、仕事を理解してくれていると思っていた。
そういえば、口説いていた時に言われた言葉を思い出す。
『ホストは嫌だ』と。
あの一言は、この事を言っていたのかもしれない。
ホストとは女性を喜ばせるための仮初めの恋人。
本物の恋人を差し置き、金で買われて他の女のものになるのだから、考えたら普通恋人は嫌だろう。
これは遊びでないのだ、恋人が愛想尽かして去っていかないように、自分も土方の事をもっと考えなければならない筈だったのだ。
チュポンッと音をたてて蜜壺から舌を抜くと、指で開かれた蜜壺から真っ赤な肉壁が蠢いているのが見える。
金時は蜜壺に固く勃起した赤黒いペニスを押し当てると、一気に突き挿した。
土方の膝裏に腕を回し腰を抱えて立ち上がると、土方は慌てて金時の首に縋り付く。
駅弁スタイルで土方を揺さぶると、金時の目の前で土方がのけ反り胸が揺れる。
ブルンブルンと上下に揺れる胸についている、ピンと立ち上がった乳首に金時はむしゃぶりついた。
グッポ…ジュプ…グチュ…グチ…
「あっ!あっ!あっ!深いぃっ!…はぁああぁん」
結合部から卑猥な水音がバスルームに響き、土方の熱い肉壁がペニスを締め上げる。
繋がった箇所から土方の気持ちがすべて分かればいいのに、しかし分かるのはキツク締め付け蠢く熱い肉の感触と痺れるような快感。
頑固な彼女は決して言葉にしない、でも今回のような事は心臓に悪いのでもう沢山だ。
だからたまには尋問しないと、淫らに喘ぐ土方を見て思う。
今回みたいに他人の口から聞くのじゃなく、土方本人からちゃんと聞かないと意味がないのだから。
とりあえず客達に恋人がいることを告げて、キスなど過剰なスキンシップは止めようと金時は決める。
それでも土方が嫌がり悲しむのならホストなんて辞めてもいいとすら思う、それくらい土方に本気なのだから。
「トシちゃん好きだ。愛してる…」
うっすら涙を浮かべる土方の目が金時を見つめ、喘ぎ声をあげる口がやんわりと微笑む。
その笑顔に金時の胸がドキンと高鳴り、ペニスがブワリと張れあがった。
「あ…あふぅ…、き…ん好き…、好…き、ひゃうぅぅう…!!」
ブッチュ…ズッコ…ジュップ…グジュ…
金時は土方を激しく揺さぶり、ペニスが最奥を突き上げる。
Gスポットを擦り、子宮口を抉られ、土方はペニスをずっぽりくわえた膣口の上にある尿道口からプシャアァァアァと潮を吹き出す。
「すごいー!あひぃっ!おちんちん…気持ちいぃぃ!!」
「うっ…出る!」
絶頂を迎えた土方を揺さぶり金時はブルブルと震えると、ズンッと一際強くペニスを突き入れる。
土方がめったに言わない好きが聞けたし、今回の事は許してあげるかと金時は子宮に熱い精液を吐き出した。
久しぶりのセックスに金時は何回も土方の子宮に精液を吐き出し、終わった時には土方の下腹部はポッコリ膨れていた。
気絶している土方の腹を押すと、蜜壺からブジュッブリュリュッと白濁の液が吹き出すほどに。
エロの師匠です。
ああはいはいセックスってこれだわ、と毎回思い知らさせてくれますありがとう!